胃がんGASTRIC CANCER
日本人の死因のトップは「がん」です。
がんの中でも、常に上位にあがる胃がんにおいては、ピロリ菌感染の存在や既往を評価することが最も重要となります。「ピロリ菌の除菌治療を行えば、胃がん死亡を免れる」と誤解している患者さんも多いですが、除菌後に内視鏡による定期的な萎縮領域の発がんチェックを行うことが非常に重要となってきます。
- 健康な胃粘膜
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以下は、ピロリ菌に感染したことがない、きれいな胃粘膜です。
胃がんのリスクが少ない症例です。ラック=RACと言われる集合細静脈の配列が整っています。 - 胃がんのリスク比
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ピロリ菌に感染して、萎縮領域が進展すると、胃がんリスクが最大120倍程度まで上昇します。
- ピロリ菌感染既往
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下記はピロリ菌に感染既往がある症例ですが、黄色矢印付近(F境界)と矢印の内側は特に、分化型がんの発生に注意を必要とします。
- 早期胃がん
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胃がんと診断されたら、①切除、②抗がん剤 という2大治療選択を提示します。
まずは根治切除が第一選択となりますが、早期診断が重要です。そのために定期的な内視鏡検査を受けましょう。ピロリ菌感染後に発生した早期胃がんの1例です。
TXI強調画像
色素散布画像
NBI強調画像
- 未分化型胃がん
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胃がんの中で、特に未分化型がんは大腸がんと異なり、早期診断が困難でかつ悪性度が極めて高いため、最低毎年1度程度の上部消化管内視鏡検査を推奨します。
TXI mode2強調
色素散布画像
NBI強調画像
- 進行胃がん
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以下の2例は、経口内視鏡切除(ESD)不可能な進行胃がんです。ここまで至ると、治療侵襲が過大となるため、早期発見のために定期的な胃カメラを受けて下さい。