メディカルダイエット( GIP/GLP -1、GLP-1、SGLT2i )

肥満・ダイエット診療

初めに

肥満は高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病をはじめとして、数多くの疾患と関連します。現在、世界人口の約3割にあたる21億人あまりは、過体重もしくは肥満とされ、2010年に肥満・過体重が原因で死亡した人の数は世界で340万人と推定されています。日本でも生活習慣の欧米化に伴い、確実に増加しています。
肥満症治療の中心は、食事・運動療法が主たる2本柱ですが、残念ながら、約95%の方は長期的には、それらの手段で体重減少を維持することが困難です。

現時点では『肥満外科手術』のみが、長期的な体重減少と肥満関連疾患の改善を図れることが証明されている唯一の方法となります。しかし、保険診療による手術適応には厳格な適格基準があり、まだまだ一般化されているとは言い難い状況です。

そこで当院では、食事・運動療法で長期的に成功しない患者さんに、あるいは上記の“肥満外科手術”適応外の患者さんに対して、保険外診療*自費診療 ですが、薬物療法を提案しています。

メディカルダイエット外来は、院長の外来日となりますので、平日と第2・4土曜日となりますので、ご注意ください。

太っている? ~ その評価方法

医科学的には、まずは真の肥満かどうか、3つの指標を総合的に評価することが重要です。その結果、“肥満症”、もしくは“高度肥満症”と診断された場合、そのリスクを意識して治療することがさらに重要です。

主に使用する指標は以下の3つです。

① 体格指数=Body Mass Index(kg/m2)
身長と体重から算出

BMI(kg/m2)判定
BMI < 18.5低体重
18.5 ≦ BMI < 25普通体重
25 ≦ BMI < 30肥満(1度)
30 ≦ BMI < 35肥満(2度)
35 ≦ BMI < 40肥満(3度)
40 ≦ BMI肥満(4度)
高度
肥満症

② 内蔵脂肪蓄積

CTで計測して、100㎠以上であれば、内蔵脂肪型肥満と診断されます。

内臓脂肪蓄積の簡単な指標 → ウエスト周囲長
男性85㎝以上
女性90㎝以上

当院CTにて、
内臓脂肪量
計測可能!!!

③ 健康障害

  1. 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常)
  2. 脂質異常症
  3. 高血圧
  4. 高尿酸血症・痛風
  5. 冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
  6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  7. 非アルコール性脂肪肝疾患
  8. 月経異常・女性不妊
  9. 睡眠時無呼吸症候群
  10. 運動器疾患(変形性関節症、脊椎・膝・股関節)
  11. 肥満関連腎臓病
肥満は
万病のもと!!

治療

① 食事 → 25kcal/kg × 目標体重/日 以下の食事療法 が何より最も重要です。

② 運動 → 心疾患や整形疾患があれば、制限されることもありますが、自分なりに長期的に継続できるものを、工夫しながら継続しましょう。

3〜6ヶ月で、まずは現在の体重から3%の減量を目標 にしましょう。体重3〜5%の減少で脂質異常症、糖尿病、肝機能障害、高血圧などが改善するとされます。

③ 肥満外科手術 ~ スリーブ胃切除術

スリーブ胃切除術
スリーブ胃切除術
  • 18歳から65歳までの原発性(一次性)肥満
  • 6か月以上の内科的治療によっても、十分な効果が得られない BMIが35kg/㎡以上 の患者であって、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併 していること。
  • 6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られない BMIが32~34.9 の肥満症およびヘモグロビン(Hb)A1cが8.0%以上の糖尿病患者であって、高血圧症、脂質代謝異常、または閉塞性睡眠時無呼吸症候群(AHI ≧ 30の重症例)のうち1つ以上を合併 していること。

④ 薬物療法 → 食事や運動療法でうまくいかない…

自由診療 の下記製剤による
ダイエットの提案

  • GLP-1製剤 ~ 注射 or 内服
  • GIP/GLP-1 ~ 注射
  • SGLT2阻害剤 ~ 内服

GLP-1製剤は、近日中日本国内においても、肥満症への保険適応が予定されています。GLP-1のGIP/GLP-1のいずれも、体内のホルモンを補う薬です。保険診療では、2型糖尿病の治療として既に日常臨床で使用されています。
効果として、1.少量の食事で満腹感をキープする2.食欲そのものを抑える3.太りにくい体質を維持する。食事量をコントロールすることで摂取カロリーを抑えられ、自然な食事制限ダイエットがしやすくなります。また、空腹感によるストレスも感じることが少なくなるため、ストレスの反動によるリバウンドの可能性を抑えることが可能です。糖尿病関連の海外データでは、GLP-1よりもGIP/GLP-1のほうが、効果が高いようです。

SGLT2阻害剤とは、余分な血糖を尿として排泄する作用をもつ薬で、糖尿病や心不全、腎臓病の治療薬として広く用いられています。SGLT2阻害剤は「糖質吸収抑制剤」ともいい、糖質ダイエットにも期待できます。
SGLT2は、腎臓のみに存在し、かつ腎臓からのグルコースを再吸収する役割を担っていることから、SGLT2を阻害し、グルコースを体外に排泄することにより、血糖降下作用のみならず、カロリーロスに基づく体重低下・肥満の改善が期待されます。糖質をよく摂る人で、血液検査で高血糖が疑われる人に対しては、有効なダイエットの補助薬となりえます。

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