脂質異常症・高尿酸血症DYSLIPIDEMIA・HYPERULICEMIA

脂質異常症・高尿酸血症

以下のような事がありませんか?

  • コレステロールが高い
  • 家族もコレステロールが高い
  • 既に心臓病、脳梗塞を発症している

早目に医療機関へ相談しましょう。

出典:British Heart Foundation 動画「Coronary heart disease, clogged arteries and atherosclerosis」より

プラーク蓄積は、脳循環に直接関連する、頸動脈で評価することが一般的です。既に高度プラークを形成している症例は、同様に心臓にもプラークを形成していることが多く、無症状であっても狭心症の精査を提示することがあります。

頸動脈狭窄
冠動脈疾患
脂質異常症

脂質異常症は血液中の中性脂肪(トリグリセライド)や、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が基準より高い、またはHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が基準より低い状態のことをいいます。脂質異常症の最大の問題は、自覚症状が何もないという点です。脂質異常症の状態を放置していると、動脈硬化は進行していき、血液の流れが滞ったり、血管がダメージを受けたり、最後には狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを発症することになってしまうのです。動脈硬化を進めないようにすることが治療の重要な目的です。定期的な血液検査を受け、症状がなくても、まず食生活・運動量の見直しや禁煙などを中心に生活習慣の改善を行い、数値をコントロールしてきましょう。動脈硬化による病気を起こすリスクが高いときには薬物療法を行っていきます。

脂質異常症のスクリーニング LDL 120m/dl以上
性別年齢危険因子の個数分類
男性 40~59歳 0個 低リスク
1個 中リスク
2個以上 高リスク
60~74歳 0個 中リスク
1個 高リスク
2個以上 高リスク
女性 40~59歳 0個 低リスク
1個 低リスク
2個以上 中リスク
60~74歳 0個 中リスク
1個 中リスク
2個以上 高リスク

リスク区分別の脂質管理目標値

治療方針の原則管理区分脂質管理目標値(mg/dl)
LDL-CNON-HDL-CTGHDL-C

一次予防

まず生活習慣の改善を行った後薬物療法の適用を考慮する

低リスク < 160 < 190 < 150(空腹時)*3
< 175(随時)
≧ 40
中リスク < 140 < 170
高リスク < 120
< 100*1
< 150
< 130*1

二次予防

生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する

冠動脈疾患またはアテローム血栓性脳梗塞(明らかなアテローム*4を伴うその他の脳梗塞を含む)の既往

< 100
< 70*2
< 130
< 100*2

*1 糖尿病において、PAD、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合に考慮する。(第3 章5.2参照)
*2「急性冠症候群」、「家族性高コレステロール血症」、「糖尿病」、「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞(明らかなアテロームを伴うその他の脳梗塞を含む)」の4病態のいずれかを合併する場合に考慮する。
一次予防における管理目標達成の手段は非薬物療法が基本であるが、いずれの管理区分においてもLDL-Cが180mg/dL以上の場合は薬物治療を考慮する。家族性高コレステロール血症の可能性も念頭に置いておく。(第4章参照)
まずLDL-C の管理目標値を達成し、次にnon-HDL-C の達成を目指す。LDL-Cの管理目標を達成してもnon-HDL-Cが高い場合は高TG 血症を伴うことが多く、その管理が重要となる。低HDL-Cについては基本的には生活習慣の改善で対処すべきである。
これらの値はあくまでも到達努力目標であり、一次予防(低・中リスク)においてはLDL-C低下率20~30%も目標値としてなり得る。
*3 10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。それ以外の条件を「随時」とする。
*4 頭蓋内外動脈の50%以上の狭窄、または弓部大動脈粥腫(最大肥厚4mm以上)
高齢者については第7章を参照。

脂質異常症と診断されたら・・・

脂質異常症と診断されたら

“脂質異常症”を見つけたら、併存しやすい氷山の上方とより重大なリスクとなる下方、つまり隠れたリスクを意識して、経過観察することが重要です。

家族性高脂血症

病態
脂質が高くなる遺伝病です。若年から心筋梗塞などの動脈硬化疾患を起こすことが特徴であり、十分な治療が必要です。
頻度
重症-ホモ接合体 100万人に1人
軽症-ヘテロ接合体 500人に1人
診断

以下2項目を満たす

  1. 未治療時のLDL-C 180mg/dl以上
  2. 腱黄色腫あるいは皮膚結節黄色腫の存在
  3. 第1度近親者における家族性高脂血症
    あるいは早発性冠動脈疾患の家族歴

2項目を見たなさなくとも
・LDL-C 250mg/dl 以上
・[2]または[3]をみたし、LDL-C 160mg/dl 以上

“重症”
診断
  1. 未治療時のLDL-C 400mg/dl 以上
  2. 未治療時のLDL-C 310mg/dl 以上かつ1つ以上のリスクファクター
  3. 未治療時のLDL-C 190mg/dl 以上かつ2つ以上のリスクファクター

リスクファクター

  • 40歳以上
  • 喫煙
  • 男性
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 早発性心血管疾患の家族歴
  • 慢性腎臓病
  • BMI30以上
  • リパーゼ高値 > 50mg/dl

家族性高コレステロール血症が
起きる仕組み

家族性高コレステロール血症が起きる仕組み

発症頻度

発症頻度

家族性高脂血症の所見と症状

悪玉コレステロールが増えて動脈硬化が進行すると

症状

脂質異常症の治療

基本的に、コレステロールは低ければ低いほど、心血管リスクは下がっていく
“The lower, the better”
食事・運動療法に加えて、薬物療法があります。代表的薬剤が、“スタチン”です。
薬物療法の基本的考えとして、2つの異なる考えがあり、ケースバイケースです。

  1. 開始して、放置 → Fire and Forget
  2. 目標に合わせて治療 → Treat to Target
高LDLコレステロールの治療高中性脂肪の治療
  • スタチン
  • エゼミチブ
  • プロブコール
  • レジン
  • ニコチン酸誘導体
  • PCSK9阻害薬
  • フィブラート
  • EPA製剤
  • ニコチン酸誘導体
  • ω-3脂肪酸エチル

スタチン6%ルール

スタチンという薬剤は、倍量に増やしても効果は6%ずつしか得られません。薬剤を2倍にしても、効果は0.06倍まで推測するのが一般的です。

スタチン6%ルール
Jones et al. Am J Cardiol 2003

スタチン+エゼミチブの併用

そこで、狭心症や心筋梗塞の既往があるような心血管リスクの高い患者さんには、スタチンに加えて“エゼミチブ”という薬を併用、積極的にコレステロールを下げていきます。

高尿酸血症

高尿酸血症ガイドライン

高尿酸血症が長期間続くと痛風のほかに、腎障害や尿路結石を起こします。また、尿酸値が高いと心血管病(心筋梗塞や狭心症など)を起こすリスクが高まることがわかっています。高尿酸血症は、症状がないからといって放っておくとこれらの深刻な病気を引き起こすので、早期の治療が大事です。必要に応じて薬物療法を行います。

高尿酸血症ガイドライン
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