呼吸器内科RESPIRATORY

呼吸器内科では、肺の病気を診療します。
気管支喘息、COPD(慢性気管支炎、肺気腫)、睡眠時無呼吸症候群・肺炎・急性気管支炎・慢性咳嗽・肺がんの早期発見など。呼吸器領域ではCT評価が最も重要な画像診断の一角を担います。当院はCTを完備しており、常時撮影が可能です。これによって総合病院レベルの診療が可能です。
元来喫煙していたり、肺がん家族歴がある方は、積極的に胸部CT評価を行っています。肺がん認定放射線技師を採用しており、近隣クリニックでは実施出来ないレベルを維持しています。
喘息の患者さんは、ガイドラインに準じてstep1-4治療をもとに、計画的に治療しています。重要な吸入療法は、種々の製品で一長一短がありますので、可能な限り最適化しています。

せき

“せき” が長く続くとき、肺がんと肺結核を否定した後の診療戦略!!

せき
今後は“コロナ診療”が感染エピソードの鑑別診断に入ってきます。

“せき”は、人間にとって、“痛み”や“かゆみ”とともに、最も苦痛な症状です。呼吸器疾患では、患者さんの家族歴や環境背景と、子供時代から現在に至る時間軸を使いながら、診療していくことが特徴です。
また、重大な問題となりうる、“肺がん”や“肺結核”の可能性を、胸部X線やCT所見を使って常に排除する最低限の思考と作業も必要となります。
診断と治療は表裏一体ですが、診断より治療を優先することが、咳診療においてはよくあります。この場合は、短い時間軸を使って、疾患を絞り込む醍醐味があり、治療がうまくいって、“せき”から解放されれば、患者さんにとって何よりも喜ばしく、この瞬間、医療者として充実の瞬間を味わいます。
現在は、“コロナ感染”が未曾有の問題となっておりますが、診断や治療に投下する医療資源(PCR・人材・感染対策コスト)の問題があり、まだ対応に一定の正解はありません。今後は乏しい医療資源の中でも、PCRなどの検査資源が増える可能性もありますが、治療の大幅な前進は、極論的にはワクチン・治療薬を待つしかありません。治療の有益性を証明する、臨床試験の迅速かつスムーズな進行を期待します。科学的対応と同時に、患者さんの不安ニーズを受け止められるよう、微力ながら尽力したいと思っております。誤解を伴う表現かもしれませんが、現有資源が乏しい現在では、時には“診断より判断”、科学に加えて、人に寄り添う“ハート”も重要ではないかと思います。
現在コロナ診療の最前線に立つ、全ての医療者スタッフに、敬意を表したいと思います。All japan!

コロナ(covid-19)感染症

下のCT画像は、コロナ肺炎の初期画像です。その次の通常の市中肺炎と異なり、陰影が淡いのが特徴です。

コロナ肺炎初期
コロナ肺炎初期 “淡い影”
文献から引用 Eur J Nucl Med Mol Imaging :features of 2019 novel coronavirus pneumonia:2020
市中肺炎
当院で加療した市中肺炎 “べったりの影”

初期における画像検索では、すりガラス陰影を積極的に探しに行くことが有用かもしれません。重要な所見ですが、その有用性は経過とともに下降していくようです。

市中肺炎
このCT写真はコロナ感染初期のすりガラスCT陰影です。
Eur J Nucl Med Mol Imaging :features of 2019 novel coronavirus pneumonia:2020
市中肺炎
右に行くに従って、日数が経過、↕は有用性の割合/%
THE LANCET Radiological findings from 81 patients with COVID-19 pneumonia in Wuhan,China :2020
扁平上皮がん
(肺がん)

基礎に肺気腫があり、長期間の喫煙の末に発症した症例です。
以下のように、肺がんの診断の基礎になるのは、CTと、補足的なPET-CTです。

胸部CT
左:胸部CT:淡い陰影は、X線では指摘困難です  
PET-CT fusion画像
腺がん
(肺がん)
腺がん
左:胸部CT:濃い陰影が病変です  
右:PET-CT fusion画像
肺がん

肺がんの早期発見にはCTが有用

日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)ですが、その中でも部位別死亡比率は 「肺」が1位で、以下「胃」「大腸」「肝臓」「膵臓」と続きます。
男女ともに死因一位となっている肺がんをいかに完治可能な時期に早期発見し、適切な治療を開始するかが重要となってきます。

死亡率(男性人口10万対) 死亡率(女性人口10万対)
図:主な部位別がん死亡率の年次別推移
引用:ファイザー株式会社「がんを学ぶ」厚生労働省人口動態統計より

日本人の2人に1人が、“がん”になりますが、年間約8万人が「肺がん」になります。
また、そのうち7万人が「肺がん」で死亡します。
「肺がん」は、がんの中で最も死亡数が多い病気です。
5年生存率も20%強で、治療が困難です。
初期症状はほぼ認めません。とにかく早期に発見するしかありません。
胸部X線では、臓器の重なり合いが多くて、“早期の肺がん”診断には向きません。
“早期肺がん”の診断は、基本的にはCTでなければ不可能です。
男女ともに死因一位となっている肺がんをいかに完治可能な時期に早期発見し、適切な治療を開始するかが重要となってきます。

とても重要な研究結果が発表されました。

「胸部CT検診をすることで、
肺がん死亡率を51%軽減できる!!」

2019年2月 第26回日本CT検診学会、茨城県日立市の住民を対象としたコホート研究で、2006年から2012年まで追跡、CT検診群17395例、X線検診群15548例を比較しました。

累積肺がん罹患 累積肺がん死亡
図:累積肺がん罹患数と累積肺がん死亡数  
引用:Jpn J Clin Oncol 2019;49:130-136

結果、CT検診群はX線検診群に比べて、肺がん検出率が23%増加、肺がん死亡リスクが51%減少、全死亡も43%減少しました。肺がん死亡リスクは軽喫煙者(pack-year 0-30)で79%減少、非喫煙者で59%減少と、喫煙の有無を問わずに有効であることが示されました。

現在、肺がん検診としては、胸部X線検査、または胸部X線検査+喀痰細胞診の組み合わせが広く行われていますが、早期の小さながんまで発見するのは困難とされています。そのため、より小さな病変を検出することができる胸部CTを検診として行う施設が増えてきています。
CTによる肺がん発見率は、胸部X線検診に比べて10倍程度高く、発見された肺がんは早期の比率が高く、その治療成績も良好であることが知られています。

胸部X線画像
  1. 肺の一部が心臓・横隔膜・骨などと重なる
  2. がんが小さい場合には写らないことがある
  3. 陰影が淡く、見えにくい

など胸部X線には弱点があります。

胸部X線
胸部X線

胸部X線には映らない陰影が胸部CTでは、はっきりと写っています。

胸部CT
胸部CT
肺炎

死亡原因の上位に君臨する肺炎

主な死因別にみた死亡率の年次推移
参照:厚生労働省 平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況「主な死因別にみた死亡率の年次推移」
肺炎
左:胸部レントゲンの肺炎  
右:胸部CTでの肺炎

良性疾患ではありますが、死亡原因の上位に君臨する肺炎に関してです。
左の胸部レントゲンでは肺炎を確認できません。しかし病歴から、追加の胸部CTを評価して、肺炎を確定させた一例です。
胸部レントゲンでは、全肺炎の70%程度しか確定できません。

肺気腫

喫煙者に効率に発症する「肺気腫」。喫煙を継続すれば、将来は息切れや咳症状が続き、在宅酸素にいたることもしばしばです。禁煙が何をおいても重要です。
下の症例は喫煙歴が長いかたに生じた肺気腫のCT画像です。黒くふくろ状に見えるところは、喫煙のせいで肺組織が壊れている場所です。今後の肺がん発症にも注意が必要です。

肺気腫
気胸

肺が破れて、気胸という緊急事態に至ることがあります。

肺気腫

もし肺がんになっていた場合でも、早期に病変が発見され、早期に適切な治療を受けることができれば、肺がんによって死亡することを回避できる可能性がぐっと高くなってきます。
また、肺がん以外の呼吸器の病気(肺気腫、肺炎、気管支拡張症、抗酸菌感染症など)や、肺以外の病気(心臓や血管の動脈硬化像、乳がんなど)が発見されることもあります。
一方、CTで異常が見つかったとしても、結果的に肺がんではないこともあり、"異常な影"のなかには肺がんと非常にまぎらわしいものもありますが、その時は、より詳細の検査ができる設備を持った病院に紹介させて頂いています。
当院では、定期的にわざわざかかりつけクリニックから紹介状を持って、近隣の大病院へ予約をしてCT撮影に行く手間もなく、いつもの診察の中で、定期検査としてCT撮影を行い、経過を観察していくことが可能です。

  • 40歳以上の方
  • 喫煙者(または同居者が喫煙者)、過去に喫煙歴のある方
  • せき、痰などが続く方
  • がんの家族歴がある方 など

喫煙の経験がある方、肺がんの家族歴がある方は、積極的に胸部CT評価を行っています。お気軽にご相談ください。

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